● 「客が嫌。来ないでほしい」と言っていた整体師さんに、コンサル終了を伝えた理由。
こんにちは。奥 武志です。
今日はあなたに、ある方の変化を、見て欲しいなと思います。
客が嫌。来てほしくない。と言っていた整体師さんが迎えた、結末をお話します。
お勤めの整体師、Iさんのお話です。
(この記事は、2017年の記事のリライトです。)
目次
なぜ彼女は、お客さまに来てほしくなかったのか?
彼女は、2017年12月で、コンサルを終了することになりました。
コンサルのお申し込み時は、こんなメッセージを、いただいていました。
リピートが取れません。お客様の症状を聞き出すのが、どう聞いていいのか分かりません。
雑談も、何を話していいのか分かりません。
施術後、今後の治療計画をうまく説明できません。
新規のお客様が来ると緊張してしまい、お客様が来ることを「嫌だ。来ないでほしい」と思ってしまいます。
お客様がいないので呼び込みをしないといけないのに、断られるのが嫌で呼び込みができません。
チラシのポスティングに行っても、庭先に人がいたら話かけられません。
不審者と思われるのが怖くて、在宅の家の玄関には近づけません。
一番、相談したいことは、お客様から、症状や望んでいることを話を聞き出す事と、今後の治療計画の説明です。
私が勤める店は、ずっと客数が少なくて、赤字が続いて、来年の三月には閉店することになりそうです。
(中略)
今のままでは、どこに行っても整体師として上手くやっていけないと思っています。
それは、私自身が口下手・内気・人見知り・心が狭い・・・などの性質を持ってるからでもあるし、
私の勤める組織が、接客のことなどを教えてくれないから、成長できる気がしない、という思いがあるからです。
リピートが取れなくて、上の人間に相談しても
「お客様の為に親身になればリピートはついてくる。もっと親身になれ」
「お前が優しくないからリピートもつかないんだ」
「人間性がよくない」
「お前の親や周りの人間に優しい人がいなかった。だからお前も優しくないんだ」
「リピートに来るよう、強く言え!次回の予約を入れないと、もう治療はしないと冷たくあしらえ。そうすれば、慌てて予約を入れる」
そんなことしか教えられませんでした。
以前は、上層部の言うことを信じて、自分がダメだから、自分が言われるようにできないから、自分がダメだから・・・と思っていましたが、
ずっと苦しくて、少し前から、何か違うとやっと気づいて、自己啓発系の本を読み、カウンセリングにも行っているのですが、
それでも、どんなアドバイスをもらっても、実際にはなにも活かすことができてません。
(中略)
正直、今の私はすごく貧乏で、●●万(コンサル料)は、とても厳しいです。
でも、いま無理してでも払わなければ、ぜったい後悔すると思いました。
相手の思ってることを推察したいけど、人を前にすると萎縮して、自分の殻にこもってしまうので、ちゃんと人と向き合えるようになりたい。
自分の思っていることを、相手に伝えられるようになりたい。
あと、三月閉店の予定を回避したいです。
誰も頼れない、誰も何も教えてくれない、でもここまで頑張ってきたのに、
もうそこまでいったら、お前の店が盛り返すことは不可能だと言われて、すごく悔しいです。
いかがでしょうか。
Iさんの切実さが、ヒシヒシと、伝わってきますよね。
リピートが取れない、症状を聞けないなど、プラスアルファができない、ということが、書いてあります。
でも、実際は、それ以前の話でした。
「嫌だ。来ないでほしい」
お客さまに対して、こう思っていたのです。来てほしくないのです。
お客さまに、笑顔になってほしい、喜んでほしい、という思いでは、ありませんでした。
さらに、お客さまのことを「客」ということもありました。
なんだそりゃ?って、思いますか??
「来てほしくないとか、嫌だとか、客だとか、ダメじゃん!!」
「何を言ってるの?そんなだったら、接客の仕事、やめなよ!」
もしかしたら、こう、厳しく言いたい人もいるかもしれません。
前向きに進んでいる方からは、批判されるような話かもしれません。
でも、奥は、Iさんと話していて、気づきました。
彼女には、悪意も悪気もないこと。
そして、彼女なりの事情や思いが、あるだろうということに。
誰にだって、それぞれに、深い事情があるものだからです。
だから、彼女のことを一切、否定せずに、味方になろう!と思い、じっくりと耳を傾けました。
なぜなら、わざわざお金を払って、コンサルを受けようとされたわけです。
変わりたい。お客さまに喜ばれる人になりたい。そんな思いは必ずあるはずなのですね。
彼女が抱えていた気持ち、辛かった過去が判明
すると、次第にわかってきました。
そもそも、誰かに喜んでもらうという価値観を、人生であまり経験して来ていないこと。
接客の「せ」の字も、教えてもらっていない。むしろ、間違った接客を教わり、マイナススタートだったこと。
このままだと歩けなくなります!!と脅せば、お客さんは戻ってくるんだよと、指導されていたこと。
本部が施術料を安くしすぎて、安さ目的のクセの強いお客さまばかりになってしまい、冷たくあしらわれてきたこと。
集客の手立てを、本部は何もしてくれないのに、客数が伸びない責任を負わされそうになっていたこと。
「お前は優しくない。お前の周りの人も優しくない。人間性がよくない」
上司からはこうして、ずっと否定されて、罵倒されて。
精神的にズタズタになり、でも耐えながら、がんばってきたこと。
事情を、詳しく聞けば聞くほどに、深いところで、理解ができました。
こういった背景や、事情があった上での、今の彼女なんだなと、わかりました。
(写真と本文は、関係ありません。イメージです。)
そこで、いつものように、私はスイッチを入れました。
Iさんは、もっとできる。お客さまの幸せを、考えられるようになる。
何があっても、Iさんをとことん、信じよう!!と。
そして、コンサルを、スタートしました。
誰になんと言われても、学び続けるという決意
最初は、敬語、笑顔、挨拶、振る舞いなど、接客の基礎からアドバイスしました。
次に、会話のコツをお教えして、慣れてきたら、カウンセリングの秘訣もアドバイスしました。
途中で、こんな出来事もありました。
コンサルを受けていることを、上司に話したところ、否定されたそうです。
成果が出ていないじゃないか!
コンサルタントなんて怪しい!
そんな風に、彼女の評価を下げたのです。
でも彼女は、周りからどう見られようと、自分が決めたことを、突き通すと決めたのですね。
さらに、こんな出来事もありました。
「でも私は、奥さんや他の方みたいに、相手のためだけを考えるなんて、できません。そんなに人間ができていないんで、自分のメリットを考えてしまうんです。エゴですよね。」
この時は、こういう趣旨のことを、お話しました。
おく「それで良いんですよ。聖人君子やマザーテレサを目指さなくて。人はどこまでいっても、自分のことを考える生き物ですから。」
Iさん「でもみなさん、相手のために!って言って、やってますよね?」
おく「ちょっとだけ違います。相手のためにを考えるのは、プロとしてやることですが、相手のためにこうしたいって、主語は、私がそうしたいでしょ?(笑)」
Iさん「ああ、そうですね。」
おく「おもてなしでも何でも、相手のためは、プロとして目指すこと。でも、すごい人を目指さなくて良いんですよ。自分が第一であることからは、逃れられないんですから。」
Iさん「たしかに。すごい人を目指さなくていいんですね。」
これは、Iさんだけでなく、間違っている方が多いです。よくいただくご相談です。
マザーテレサのような、慈悲深く、高尚な人格者を目指すことと、接客のプロを目指すことは、別物ですよ。
人格者になることを「目指す」のは良いことですが、「できていない点を否定」するくらいなら、やめたほうがいいのです。
なぜなら、エゴはダメ!と否定している時点で、その否定的な発想が、エゴそのものだからです。
エゴがない=エゴを認める(あってもいいと受け止める)
究極は、こうなんですよね。
だから、、、
お客さまが喜んでくれることをやる!これを追求することが、私たちが真っ先にやることです。
さて、こんな話をしてから、Iさんは気持ちが軽くなったようでした。
彼女の中で、何かが変わり始めた瞬間
当初は、何をやっても失敗して、何度も、諦めそうになっていましたが、少しずつ、少しずつ、変わり始めました。
「昨日、来られたお客さまが、、、」
こうして自然と敬語で、お客さまの話題を、出されるようになりました。
「クセのある方でしたが、これこれこうお伝えしたら、次回予約を入れてくださいました。」
苦手なタイプのお客さまでも、対応できるようになり、次回予約を入れてもらえるようになりました。
さらに、チップをもらえたり、施術の頻度を増やしてもらえたりといった、成果も出ました。
ちなみに、コンサルを開始したのは、2015年1月です。
途中でお休みをはさみつつですが、3年間も、学んでこられたのですね。
当初は、1回のコンサルで、直すべき点が10個は、ありましたが、半分くらいまで、減っていきました。
2016年には、2、3個くらいまで、激減してきました。
そして、2017年に入ってからは、、、
「その対応で、バッチリですよ!問題なしです。次回予約をいただけて良かったですね^^」
奥からは、修正点はなく、こうお伝えすることが、ほとんどになっていました。
少しずつ、自信もついてきたようで、発する言葉1つ1つに、説得力が出てきました。
こんな感じで、当初の目標を、達成されたのです。
2017年12月で、コンサルをお休みすることが、決まりました。
といいますか、奥の方から、お休みすることを、ご提案しました。
驚くほど成長を遂げた。一通のメール
そんな中、つい先日は、他のサロンに足を運んで、接客の勉強にも行かれたそうです。
Iさんから、こんなメールが届きました。
来月で、コンサル終了ですね。ありがとうございました。
先日他店のマッサージを受けに行ってみたのは、
「コンサルを1月まで続けたと思って、その分のお金を使って、他店を覗いてみよう」
と思ったからです。
他店を覗いてみたい、でもお金が無いしなーと思っていたので、コンサルをいったん終わらせましょうと言っていただけたのは、私にとっていい機会だったと思います。
もっと早く他店を覗いてたら、そこの感想とか疑問を奥さんに質問できたのになぁとか、ああー。自分はもったいない事をしたなーと少し思います。心の中の1割くらい。
9割は、これが私にとって一番いい道のりとペースだなー。と思います。
でもやっぱり、名残惜しいし残念なのもあるので、最後の1ヶ月、出来るだけ報告をしたいと思います。
パソコン画面見ても、眼球が痛くないのって最高です!
(奥注:体に不調があり、目が痛くなっていたのを、治療したばかりでした)
こういう、辛いのが当たり前の状況になってるけど、本当はもっと心身共に心地よくてスムーズで、
「普通=普通」じゃなくて「普通」=「輝いてる、幸せ」
という感じが、わたしがお客様に提供したいことかなー、と思います。
会社設立おめでとうございます。
メールの文章から、一生懸命な気持ちがとても伝わってきました。応援してます。
奥さんのこれからに、今まで以上に良いことがたくさんありますように。
彼女の成長ぶり、伝わるでしょうか?
コンサル申し込み時の文章とは、別人のようです。
お金が「ない」ではなく、もしコンサルを続けていたとしたら?と考えて、「ある」に目を向けた。
わざわざお金を使って、他のお店に、接客を学びに行った。
もったいなかったかなと、後ろ向きになりそうな気持ちに向き合い、前向きにとらえている。
「客」「来てほしくない」と言っていた彼女が、応援してます、良いことがたくさんありますようにと、穏やかな言葉を自然と使っている。
また、苦手な上司、苦手なお客さまがいて、思わずイラッとすることがあっても、今は冷静です。
この人はこの人。あの人はあの人。私は私の課題に向き合う!と落ち着いて、切り分けて考えられるようになったんですね。
学び続けた結果、たどり着いたのは「幸せ」
そして、何よりも、最後の言葉です。
>「普通」=「輝いてる、幸せ」という感じが、わたしがお客様に提供したいことかなーと思います。
彼女なりに、お客さまの幸せを、考えられるようになりました。
この一文を読んで、泣きそうになりました。
これは、Iさんが変われたとも言えます。でも、最初からIさんが持っていた優しさが、出てきたとも言えます。
このお話で、私自身、あらためて学べたことは、4つありました。
・人は必ず、成長できるということ
人は全くのゼロからでも、必ず成長できるということが、よくわかりますよね。
行動さえすれば、必ず、一定の成果は誰にでも、出せます。
成長できない人はいないということを、あなたにも知ってほしいです。
成長できないとしたら、それは、ただ、諦めているからです。
・接客の基礎を学ぶ、効果と重要性
接客を基礎から学ぶと、別人のように、お客さま対応ができるようになります。
たとえ今、接客が苦手でも、結果が出ていなくても、基礎から学べば、お客さまに選ばれます。
いまの環境に、不満を垂れるより、基礎から見直すことが、とても大切です。
・人を本気で信じるとは、どういうことか?
当初のIさんがどうであろうと、彼女の可能性を信じる、味方であろうと、最初に決めました。
どんな状況でも、相手を信じることが、本当の「信じる」ということです。
表面的な部分だけに目を向けて、それじゃダメでしょ!と決めつけていたら、彼女は成長できなかったかもしれません。
・スゴイ人になろうとしない!(すごくない点を否定しない)
高尚な人間や、スゴイ人を目指したり、エゴを無くそうとすると、実は、かえって成長が止まります。
スゴイ人でなくていい、エゴがあってもいいと認めながら、学びを深めると、成長できます。
エゴがダメなんて、地球上に何人もいない、聖人君子に簡単になれると思う方が、自意識過剰です(笑)
このお話は、以上です。
奥自身、Iさんのおかげで、たくさん学ばせていただいたなと思います。
いずれにしても、がんばったのは、他でもないIさん自身です。
これからの、さらなる成長が、楽しみですね。
「今のままでは、どこに行っても整体師として上手くやっていけないと思っています。」
以前は、こう言っていました。
でも、今のIさんなら、どこに行っても、プロの整体師として、やっていけます。
3年間も、自分だけに向き合って、諦めずに、がんばって来られたのですから。
いま、これを読んでくれているあなたも、まだまだ、眠っている可能性があります。
くじけそうになったら、この記事を読んで、がんばってみてくださいね。
もしも、それでも、お客さまの対応方法が、どうしてもわからない。学びたいと思ったら。
その時は、Iさんのように、サロンや治療院での接客を、学んでみてください。
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